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　先日、NHKの新プロジェクトXで東日本大震災時のある地域の献身的な出来事を見て感動したので紹介します。
　タイトルは　「孤立集落へ 命の道をつなげ 〜東日本大震災 6日間の闘い〜」　でした。
　内容は、2011年3月11日にマグネチュード9.0の地震により高さ15ｍの津波が発生し多くの尊い命を奪い甚大な被害をもたらせた東日本大震災直後の翌日12日から6日間の岩手県釜石市日向地区のふるさとを愛する人たちの知られざる心暖まる活動です。
　この災害は、震災前に住んでいた6,600人の住民の1割が亡くなり、7割の住宅が被災しました。
　東日本大震災直後、津波による大量のガレキで道路が遮断され孤立集落が多発し、日向地区でも孤立集落となり救助も支援物資も届けられず住民は命の危機に直面しました。
　そんな中、自分の会社の事務所も重機も流されてしまった地元の建設業者の一人が、近くのレンタル会社に残っていていた重機で「建設業の使命と誇りでふるさとを救えるのは自分しかできないことだ」と仲間に声をかけて共に立ち上がりました。
　震災翌日の3月12日から、重機で道路上の想像を絶するガレキの山を2.5キロ切り開けなければ緊急車両も救援物資も届かないという思いで突入し「命の道」を切り開き始めました。

　グチャグチャになったガレキの中に生存者がいる可能性があり重機で一掻きする度にエンジンを切って声を上げて生存者確認を行ないながらの慎重な作業であったため、1時間で100メートルほどしか進めませんでした。
　被災した住宅やガレキの山の中で、やりたくもない遺体の収容作業を必死になって行っている消防団員や住民達の姿を目にしました。
　遺体があるところには目印の旗が立ちそれを避けて命の道を切り開いていました。
　県道は流されてきた家々で道が塞がれ県道をこれ以上進むのは無理と判断し、三陸縦貫道に車が上るための新たな道路を突貫工事で臨時のインターチェンジを完成させ日向地区の集会所まで道路をつないだそうです。

　一方、電気も水道も寸断した日向地区の集会所では、地区のご婦人たちが自分の家族の安否がわからない中で地区の皆さんのために炊き出しを行う「日向のおにぎり部隊」が発足し、婦人たちは山の沢水を交代で汲みに行き、木の枝で火をおこし、農家から譲ってもらった米で「おにぎり」を作り地元住民に配りました。
　当初300人を想定していたところ1,000人を超える方が集会所に集まり、米が底をつきかけておにぎり1個をおじやにして食べられていました。また、空腹と寒さで体調が悪化したり、薬が無くて持病を悪化させる人たちも出ていました。
　地震の2日後には食材が尽きかけ、炊き出しを続けることが困難な状況に追い込まれましたが地区の人たちが一致協力して食材を持ち寄ったり、中には家族のための米を提供してくれる人たちもあって何とか食いつないでいったそうです。
　そして震災発生から6日間、「ふるさとを救いたい、地区の人たちを守りたい」という気持ちで建設会社の人たち、地元消防団員の人たちや婦人会の人たちの一人ひとりの利他の心でつないだ命の道がようやく集会所までつながり救援物資が届けられました。
　みんなが力を合わせた6日間の闘いの番組でした。

　自分たちが地域を守るためにやらなくてはという一途な思いがそれぞれの行動に繋がっていました。
　「一人で出来ることには限界があるが、仲間と協力し合えれば目的・目標に向かうベクトルが同じ方向を向き無限大の力になる」、また、「一人では乗り越えられない状況も、みんなでお互いに助け合えば乗り越えることができる」と、この放送を見て感動しました。